コロナ禍での人材採用

コロナ禍において、整理解雇された人、人員整理に伴い早期退職に応募した人、それらに伴い転職を希望する人など、人材の流動化が拡大しています。人材派遣会社にとって、どのように人材採用をしたらいいか、考えてみましょう。
厚生労働省は、ハローワークなどを通じて把握した雇い止めを含む解雇者数について集計しています。それによると、解雇者数は、8月末時点で計5万326人。5月から7月までの3カ月間は月1万人を超え、8月も約9000人と高水準。同省が把握できるのは一部にとどまり、実際の数はさらに多いと推測されています。
 8月28日までの1週間の集計では、解雇者全体のうち6割超が非正規労働者で、業種別では製造業が最も多く、小売業が続いています。(参照元:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020090100591&g=eco

今後、ますます失業する人が増大する傾向にありますが、反面、仕事を探す人も、同じ数以上にいるということは事実でしょう。

ようやく日本人も、仕事も含めた自分の人生を、自ら描くことに責任を持たなければならないことに気づいてきました。この社会環境の変化に伴い、戦略的に人材派遣会社を活用する人材が増える期待について考えてみましょう。
まず、転職において、人材派遣会社を活用する人にとっては、自分の「価値」を理解して派遣先とマッチングをしてもらえるという最大のメリットがあります。前社での成功パターンや利益への貢献実績を次の転職先で、同じように果たせるかと言えば、それは少々大げさな申し出になるものの、それらの会社の社風や、手順、判断基準が理解できるようになれば、早々に、能力を発揮することができるようになるため、派遣元、派遣先、人材ともに三方良しの答えを出すことができるようになるでしょう。
派遣先にとっても、即戦力が必要であっても環境になじむまでの時間は若干要するものの、期待を担うことは間違いないわけですから、直接雇用の経験者の採用と同じ戦術として、派遣社員と契約をするメリットはあるでしょう。まさに、裁量性の契約は、むしろ、派遣会社を通して自社に必要な人材を見つけてもらえるというメリットを最大限、有効に利用することで、採用に関するコストの削減もできることになります。
一方、新卒採用については、振り返ってみて、前年までの採用活動は、売り手市場と言われており、ほんとうに必要な理想の人材を採用するに至らず、採用できる人を採用して、入社してから教育をしていたのではないでしょうか? ところが、今年の春の新入社員教育からは、すでに今までとはやり方も変えなければならず、大手企業も中小企業も、リモート研修の対応に追われるうちに、新入社員が辞めてしまった・・という声も、たくさん聞き及びます。
とりあえず、入社してもらって教育する・・という考えが今年からは、通用しなくなっており、従前のやり方を見直さなければならなくなっています。

リモート面接

面接を積極的にする

派遣会社の業務の中で、派遣社員の採用面接を担当されるのは、コーディネート業務を兼務する方が多いようです。
ここ2、3年は、登録をWEBだけで済ませてしまう会社が増え、マッチングする際になって、面接をするという会社を多くお見受けしました。派遣会社への登録を済ませた人の行動は、いつ仕事があるかわからない状態では心もとないので、あちらこちらの派遣会社に登録するという傾向がみられるわけです。
しかし、応募者は、マッチングして急いで紹介してもらいたいのであれば、面倒だと思わずに、登録の際から面談をしてもらい、自分自身で考える「価値」が市場で通用するものなのかどうかを判断してもらうとか、自分で気づかないマナー違反などについて教えてもらうなど、マッチングに成功する行動が必要でしょう。
派遣会社は、面接をキャリア形成の機会をとらえて、キャリア・アドバイスをするとか、カウンセリングをするなどして、マッチングのために高度な情報提供、収集を行っておくことで、マッチングをスムーズに進めることができます。応募者が時間や費用を惜しんで面接を避けようと面倒な姿勢を見せても、面接により、マッチングの精度が上がることを示し、積極的に面接するようにしましょう。

リモート面接には、質問力を磨きましょう

ところで、コロナ禍においては、派遣会社の業務は、リモート対応になっている会社が多いことでしょう。
これは、時間に縛られて行動しなくてもよい、電車など公共交通機関での移動を避けることができる、面接に出向く費用がかからないなど応募者にとってもメリットがあり、ますますリモート対応、リモート面接は、増えることでしょう。
対面では、面接が得意だったというコーディネーターも、リモート面接になると、見分けられない、どうしても伝わってこないと、頭を抱えている人が多いです。
コーディネーターの皆さんが、リモート面接の精度をあげるにはどうしたら良いのでしょうか。 応募者が話す仕事の経験を、自慢話として聴きたいコーディネーターはいないはずです。職場や業界の環境と成果の関係や、判断の基準、何かがあったとき、どのように対処したのか。人間関係はどうであったかなど、具体的に「知りたい」ことについて、応募者が答えやすいように質問する能力を磨くことで、マッチングにしやすい人材の登録を目指しましょう。
残念ながら、学生の就活よりも、中途採用の応募者は、リモート面接に不慣れな方が多いようです。指導してくれるキャリア・カウンセラーや、アドバイザーが身近にいないからでしょう。従って、対面の面接のように、表情などで人柄を判断することが難しいのが現状です。コーディネーターは、応募者が語る話の内容で、人物像や性格などを把握することに努めなければなりません。先入観を捨て、人柄を見つけるためには、的確な質問をすることです。
何を知りたいから、この質問をしたという事例を、コーディネーター同士で共有して、精度を上げ、質問集のひな形づくりも効果的ですね。なかなか、時間が取れない方には、リモート面接の進め方や、質問内容などについて、相談に応じますので、お気軽にお問合せください。

プロフィール

竹内和美先生

竹内 和美

実践を想定したワークショップ形式での研修を実施。研修中に、その企業の課題を参加者に認識させ、解決、前進に意識を一丸とさせる投げかけで、想定以上の効果があると好評。製造業から小売業、サービス業まで、また経営者や中間管理層から新入社員まで、実績と事例が豊富。組織の根幹である人材育成に様々な角度からアプローチしています。