派遣会社のビジネスチャンス

猛暑とか、酷暑とか。災害級な暑さと称される2020年の夏。
“たら”と“れば”で話しても、価値はないのかもしれませんが、予定通りオリンピックが開催されていたら、この暑さの中で、選手は気力や体力を保っていたのだろうか? 新記録は出ていたのだろうか? と、時々想像しながら過ごしています。

皆さんは、元気にお過ごしでしょうか。

派遣ビジネスの展望

占い師ではないので、業界的にこの先どうなりますか?という質問には、的確にはお答えできませんと、正直に申し上げます。
しかし、人材ビジネスの原則を守っていれば、今後必ず、派遣会社は「必要な存在」「ますます重要な存在」であることは確信しています。

その理由は……
1つには、働き方の多様化がますます加速する。
1つには、労働人口は、急には増加しない。
1つには、固定費(正社員)ではなく、変動費(派遣社員)のほうが予算化しやすく、合理的な経営ができる。

こんなことを、派遣会社の幹部社員の皆さんと議論をすることが多くなりました。

多様化する働き方、人材との係わり方を考える

2020年前半は、オリンピックの開催も見据えて、大企業ではテレワークの練習や時差出勤などの準備が行われていたため、比較的スムーズに、自粛期間を迎えることができていたようです。しかし、中小企業や、職種によっては、オフィス以外での仕事環境を設けるなどの働き方改革ができなかった方が大勢いました。さらには、雇用形態の違いによって、テレワークが不可とされました。
正社員と派遣社員では、守秘義務に違いがあるのでしょうか? と、疑問をもつことがしばしばありました。もちろん、アクセスできる情報やサーバーには違いがあるのは致し方ないことですが、「派遣社員だから」テレワーク不可というのは、いかがなものか、です。
今や、正社員比率は40%台の企業がほとんどなのですから、派遣社員に任せている業務は、オフィスでなければならないという考え方で、はたして良かったのだろうかと思います。

人材派遣会社は「人」と「仕事」のマッチングビジネスです。
これからは、社会や職場の変化への対応も見据えて、マッチングだけでなく、「アドバイスをする」ことも望まれるのではないでしょうか?
派遣会社は流動化する人材について、派遣社員の活用を提案しますが、同時に業務改革や新しい取り組みについてアドバイスをすることが求められるでしょう。
派遣社員としてキャリアをリ・デザインするには、人材の人生設計の見直しにアドバイスをしたり、多様な働き方、生き方があることを伝えて、協働できることを探しながら、仕事とのマッチングを推奨するという王道は、今まで通りに。これからは、例えばITに強い企業であれば、IT環境を活用した新たな提案とともに、派遣社員の活用をご提案することが望まれるのではないでしょうか? 
ことに、中小企業は、テレワークのために何をどう整えたらよいか、まったく情報不足で手が付けられない会社が多く、本来は、商工会議所などの経営相談員が、応談することが望ましいのでしょうが、今は、様々な助成金受給の相談に追われているため、それ以外の相談に乗ってもらえる場所がありません。
強みを活用したご提案や、実績をもって営業活動に務めることができれば、そこに新しい事業が生まれていきます。さらには、派遣切りにあった人材も、未来に期待を寄せることはできるのではないでしょうか?

派遣会社の付加価値を創造するためにすべきことは原則論と同じです

これからの社会は、人と人の距離を適度に開けて生活することが望まれるようになります。
いわゆるソーシャルディスタンスですね。また、必要なものを必要な場所に届けてくれる配達業のサービスを受けながら生活するようになります。
更に、自分の人生の中で、仕事をすることの目的や価値を、自分で考えて、自分で決めるようにせざるを得ないため、ジョブ型の働き方を望む人が多くなることでしょう。
これらの社会の変化は、ある日、目に見えて、すごく強く感じられるものではないかもしれません。大きく変わったと実感するわけではないでしょう。
しかし、現実的には、徐々に変化が始まっています。IT化はますます加速するでしょうし、そうなれば、人の生き方も変わってくることは間違いありません。
だからと言って、すべてをAIやロボットに頼り、仕事をしないで生きることができる人はいません。

自分がどんなふうに働くと良いか、誰かが寄り添って考えをまとめる手伝いをすることを望む人が増えるでしょう。
仕事と自分をマッチングさせてくれるサイトや、企業を望む人が増えるでしょう。
派遣ビジネスのニーズは、いつも「時代の変化」、「社会の変化」と共にありました。
この新しい社会をいち早く身近に感じて、未来を想像すると、そこに新しい事業が生まれます。
情報の収集を怠らず、派遣スタッフの皆さんの望むことは何か、共感的に理解して、新しい時代をリードしていきましょう。

プロフィール

竹内和美先生

竹内 和美

実践を想定したワークショップ形式での研修を実施。研修中に、その企業の課題を参加者に認識させ、解決、前進に意識を一丸とさせる投げかけで、想定以上の効果があると好評。製造業から小売業、サービス業まで、また経営者や中間管理層から新入社員まで、実績と事例が豊富。組織の根幹である人材育成に様々な角度からアプローチしています。