社食格差

社員食堂を利用できるのは正社員だけですか?

派遣社員をテーマに扱うテレビの番組が始まりましたね。
新型コロナウイルスへの感染を防ぐために撮影が遅れたため、番組の開始が遅れたようですが、初回を見る限りでは、「いつの時代のこと?」と、びっくりするような経営層や管理職の言動や、正社員と派遣社員の区別があって、もはや、これは笑うところなのね、と思うほどでした。

「弊社」と言っていいのは正社員だけとか、何回目かの放送では、社食の価格が、正社員と派遣社員では異なるとか。同一賃金同一労働は、取り組みが始まったばかりで、「まだまだ意識が向かないのは仕方がない」とするのか、「何をいまさら」と受け取るのかでは、職場環境整備は、まったく異なったものになるでしょう。仕組みや基準、ルールを作る側の意識が低いと、会社の文化や風土が変化を起こすには、時間がかかりすぎてしまいます。

しかし、一方で、最初から派遣社員と一緒に、チームを組んで仕事をしている若い世代の人たちは、この時代錯誤を軽んじてしまうため、上下の信頼関係が築けなくなるということに気づかなければなりません。
働き方や働く目的は異なっても、業績向上に貢献することで成功させられれば良いのです。

10年ほど前、派遣スタッフから相談されたことがあります。
「社員食堂でお昼を一緒に過ごせれば、コミュニケーションがとれるんですけれど・・、どうして派遣は、社食が使えないんですか?」
胸を打つ相談を受けたのは遠い記憶の中のことになりましたが、確かに、当時は、社食代が、正社員と派遣スタッフには明確な違いがあったことを思い出します。

同僚と社食

派遣会社のスタッフという意識はプラスか、マイナスか?

同一賃金同一労働を実現させるには、まだまだ多くの努力や思考の変化が必要ですが、意識の上での雇用形態の違いによる区別は、そろそろ無くなってほしいと願います。

・ある一つのミッションに基づいて仕事をするための人材を集めて、チームを立ち上げる。・その役割が担える人材が集まって、成果を目指す。チームのリーダーとメンバーは、常に最適な仕事をしているかどうか一緒に評価し、改善する。

・チームとチームもネットワークでつながって、コラボレーションによって、更によい結果を残すことができる。

・信頼関係に、雇用の区別は必要だろうか?

働く派遣スタッフ側に、10年以上前の「古い区別の意識」はありません。

正社員が、人的ネットワークが業績を左右するという意識に変われば、「派遣社員であるとかないとか」という意識はなくなることでしょう。

在宅ワークが中心になってくると、変化に対応できない管理者は居場所を失います。

派遣先管理者の皆さんが、一日も早く、意識改革に成功してほしいと願います。

もちろん、すでに克服して成果を上げている派遣先の管理者の皆さんには、社会に模範を示していただき続けてほしいと願いつつ、感謝申し上げます。

プロフィール

竹内和美先生

竹内 和美

実践を想定したワークショップ形式での研修を実施。研修中に、その企業の課題を参加者に認識させ、解決、前進に意識を一丸とさせる投げかけで、想定以上の効果があると好評。製造業から小売業、サービス業まで、また経営者や中間管理層から新入社員まで、実績と事例が豊富。組織の根幹である人材育成に様々な角度からアプローチしています。